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漢方薬処方のエビデンスを上げる研究をしています

(クリックでFacebookのビデオをご覧いただけます。接続環境によっては10秒程度待つかも。。)

 

漢方薬には単味(たんみ)という単語があります。これはたとえば「葛根湯」という漢方処方を例にとれば、葛根湯を構成しているいくつかの薬草の、ひとつずつのことを示します。この単味それぞれが生薬(しょうやく)と呼ばれています。

この単味のそれぞれには、大昔からの臨床で積み重ねられて分かってきた「帰経」という情報が添えられています。帰経の「経」とは「経絡」の意味です。経絡は身体の表面を走行している生理作用を伝達する一種の情報ラインで、身体の表面に12本の経絡ラインが知られています。

単味の薬草(生薬)に添えられた帰経という情報は、その薬草を服用すると身体の12の経絡のどれに最も効果的かを知らせる情報なのです。

さらに単味の薬草(生薬)には帰経のほかにもう一つの重要な情報が添えられています。それが「寒熱(かんねつ)」という情報です。寒熱情報があるので、ある単味を服用すると身体の冷えを治すのか、熱が余分に働いている状態を治すのかをあらかじめ知ることが出来ます。

もし人の身体が発信している12の経絡に関する細かい情報をキャッチできれば、患者さんの身体がどの単味をどれくらい必要としているのかを判断できる、と私たちは考えました。私たちが12年前から続けてきた研究は、この発想が出発点です。7年前に私たちがこの技術に関する特許を取得した直後に、同様の研究を慶応大学医学部先端医科学研究所で続けてこられた大倉多美子(薬学博士)先生と共同研究をスタートさせました。大倉先生は抗がん剤研究と漢方薬研究の二つの分野のエキスパートです。

始めにアップした短いビデオレポートはこの共同研究についての最近の報告です。本年(平成30年)10月8日、札幌で開催された日本統合医療学会で報告しました。

*** もう少し知りたい方はこちらもどうぞ *********************

例えば「滋陰降火湯」と「滋陰至宝湯」という二つの漢方薬を例に挙げてみます。
それぞれ、ジインコウカトウと、ジインシホウトウと読みます。

二つとも身体の中に「良くない熱」があるときに飲む処方です。この良くない熱というものは厄介な熱です。反対に厄介でない熱とは、実際にお熱があって体温計で分かるような熱、ともいえます。

わたくしたちの研究では、この良くない熱に気が付かずにこれを長期間放置すると、12の経絡すべてにこの良くない状態が広がることが分かってきました。そしてさらにこれを放置し続けると、ついには生活習慣病として病気の状態で現れることも分かってきたのです。この生活習慣病のうち最も面倒な病気のひとつが「がん」です。

(腎経、肝経のどちら?)
滋陰降火湯の特徴は、腎経という経絡上に良くない熱の問題が表れているときに適しています。一方、滋陰至宝湯は肝経という経絡にその問題があるときに適しています。ですから、腎経、肝経のどちらに問題があるのかを測定データから読み取れば良いのです。

(腸の良くない熱)
さて、例えば肝経より腎経に問題があったとしましょう。つぎは腸の状態を示すデータを読み取ります。小腸、大腸の両方がこの良くない熱の問題に見舞われていることは少なくありません。この腸の問題に効果を示すことが分かってきた単味に「黄柏(おうばく)」があります。黄柏は滋陰降火湯に含まれて居ます。
すでに黄柏は細菌性胃腸炎に効果を示すBerberine(ベルベリン)という成分で知られていますが、私たちの研究で「腸の良くない熱」にも効果があることが分かってきました。
ここまで2項目で検討しましたから、滋陰降火湯を飲んでOKそうにみえますが、もう少し検討します。

(肺の良くない熱)
肺の状態を診たいのです。肺は実に酷使されています。口の粘膜や目の角膜は細菌やウィルスが触れるところですが、面積は広くありません。一方、肺の中で酸素を取り込む働きをしている肺胞は一つ一つが微小ですが数が多く、表面積は50平方メートルもあることが知られています。表面積の広さが大きければ細菌やウィルス、さらに有害物質との接触危険度が上がります。

もし肺に良くない熱が発見されたら、この良くない状態が微小なうちに改善するに越した未病対策はありません。この肺の良くない熱に対して効果を示す単味に「天門冬(てんもんどう)」と、「麦門冬(ばくもんどう)」があります。この二つは滋陰降火湯に含まれています。

(肺が冷えていないのか?)
天門冬、麦門冬は熱には効果的ですが、もし肺が冷えてしまっていたら使えません。肺に冷えの反応が測定されるときは肺の免疫作用が低下しているとみなして良いということが、これまでの研究で分かってきました。

(脾経、胃経に冷えがあるか?)
ここまでデータを検討してきてOKなら、仕上げに検討するのは脾経、胃経の冷えの問題です。脾経という経絡は水分調節に重要な働きをしています。もし脾経、胃経に冷えがあれば軟便傾向が見られたりします。滋陰降火湯に含まれる蒼朮は脾経、胃経の冷えに効果を示します。

このように5項の問題点について測定データを検討して、おおむね全てを満たす場合に滋陰降火湯を服用しますと、効果が現れます。
では服用量は、というと、本人も気が付かないような初期の未病の状態では、通常の使用量の1/3~1/6で効果が得られる場合が少なくありません。
つまり、未病状態でもそれが軽度ならば漢方薬が僅かでも効果を示すのです。

 

 

 

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